アンドレ・プレヴィンとN響の共演は伝説になっている。私は生演奏を聴く機会には恵まれなかったが、こうしてモーツァルト演奏を集めたCDを聴いている(KKC2060/1)。1995-99年にライブ収録されている。
スピーカーから聞こえてくるプレヴィンのモーツァルトは自然体そのもので、その音楽には一切の虚飾が無い。ピアノ協奏曲第24番はピアノとオーケストラ共に優美で、絶品と言うしかない。
交響曲もたおやかに響くが、何より凄いのは《フィガロの結婚》序曲とセレナーデ第13番である。よく知られた名曲だが、一切手を抜かず、上品に組み上げるのは流石である。フィガロはこの曲の模範演奏と言っても差し支えない。N響が小君よく鮮やかに演奏しているのが印象的なCDだが、一度生で聴いてみたかったというのが本音である。