よく考えられた、精緻な演奏会といった印象を抱いた。
K.ペトレンコがベルリンフィルと来日。サントリーにて5公演を敢行するとのことで、本日足を運んだ。
引っかかることなく流れていくモーツァルトから、すっきりとしたベルクまで、ベルリンフィルの多彩な対応力を聴いた。ベルクを演奏する要領でモーツァルトを組み上げたと考えると、モーツァルトであまり色を出さなかったのも合点がいく。
同じスタイルでブラームスも演奏した。溜めたりテンポを揺らしたりせず、ミニマルミュージックのように一つひとつの動機を鳴らしてゆく。それにより合奏全体に一貫性を持たせていた。このやり方だと第4楽章のパッサカリアで、各楽器がバラバラにならない。この演奏スタイルで、構造的に説得力のある演奏をすることができている。それによりブラームスの後期様式が、新ヴィーン楽派へと繋がっていくことを克明に描き出している。
会場は大盛り上がりであった。個人的に音楽的な面白みには欠けるが、よく練られた見事な演奏であった。