小泉和裕による充実のシェーンベルクプログラム。都響の弦の巨大なうねりを浴びた。
サントリーホールは少し空席の目立つ入り。浄められた夜はコントラバスがウィーン式の配置をとる。弦楽合奏版であるが、弦の集合体というより、個々の楽器が際立つ。各奏者の親密な対話が小気味よく、最後はそれらが統合されて一つの塊と化した。
後半はブラームスピアノ四重奏曲第1番。シェーンベルク編曲によるオーケストラ版。かなりシェーンベルク側に寄せた暗い響きであるが、今日のプログラムとしては当然であろう。少々古めかしい解釈だが、この曲は重厚壮大にやると演奏効果が上がるようだ。第3楽章の弦の広がりはブラームスも意図していなかった現象であろう。それが第4楽章になるとなかなかの熱量に変換され、切れ味鋭いロマの音楽になった。