誠に驚異的なメンデルスゾーンであった。こんな多幸感に包まれた日もなかなか無い。
ネルソンスがゲヴァントハウス管と来日。4年ぶりのゲヴァントハウスに、心躍らせてサントリーに向かった。
オーケストラが鳴り出した一音目から、馥郁たるきめ細やかな音が聞こえてきた。一発で心を鷲掴みにする音。久しぶりのゲヴァントハウスのサウンドに序曲だけで満足した。
チョソンジンのソロによるシューマンも大当たり。オーケストラと協調して、明快に演奏する。前半だけで、ゲヴァントハウスの底力を聴いた感がある。
後半はメンデルスゾーン。まさに驚異的な出来と言わざるを得ない。申し訳ないが、今年に聴いた全てのコンサートの中で、今年一と言って良い出来栄え。木管の鮮やかながら、オーケストラに溶け込むサウンドが心地よい。1stクラリネットが縦横無尽に大活躍していた。コントラバスが野太く鳴り、1stヴァイオリンがふくよかに語る。オーケストラ演奏の理想形を聴いた。ネルソンスは所々自己主張しつつも、基本的にはゲヴァントハウスを尊重して邪魔しない。このような謙虚で賢明な人物がゲヴァントハウスには合っているようだ。久しぶりに聴きたいサウンドを聴けた気がする。
様々長々と演説の後、スコットランドの第2楽章をもう一度。本編より伸びやかに自由に演奏するゲヴァントハウス。楽団員が実に楽しそうで、愉快な演奏であった。
ブラボーの嵐の中、盛大なソロカーテンコールで幕。ゲヴァントハウスの自信のほどが垣間見れる最高の演奏会であった。真摯な仕事ぶりがこれを実現した。ここまでゲヴァントハウスの座右の銘を体現している演奏はなかなかできない。明日も楽しみにしている。