KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

カーチュン・ウォン/日フィル

カーチュン・ウォンと日フィルの、既に完成された至芸を拝聴した。

日フィル10月横浜定期、ウォンが首席指揮者になってからの初の横浜定期登壇となった。前半の亀井は芯の通った音で一貫しており、コンクールで一位なのも納得。

後半のブラームス、一音目から引き込まれるような立ち上がり。仄暗い音色で、重心が低い。これは以前交響曲第4番を聴いた時と同じ印象。細かくテヌートの指示を内声に出しながら、緻密に指揮するウォン。細かな仕掛けが功を奏し、熱量高い演奏になった。

木管前列の極めてまろやかな音についても言及が必要であろう。ゾーンに入っていると表現したら良いか。極限まで集中していると出る音が間違いなく出ている。弦も扇谷コンマスを筆頭に、艶やか。このような日フィルは滅多に聴けない。しかしウォンが登壇するようになってから、その回数は間違いなく増えている。今日は1月のラフマニノフのような、一切文句の付けようが無い演奏会というわけでは無かったが、客席を沸かせる演奏であったことは間違いない。ウォンという人は、ダメな演奏が一切できないのではないかと思っているが、今のところそれは正しい認識のようだ。

来月も楽しみにしている。出来ることなら明日も行きたいが、そうもいかないのが悲しい所。既に極めて美しい演奏が出来ているコンビに、今後とも注目したい。

余談だが、横浜定期は拍手がサッと終わってしまう。ソロカーテンコールで褒め称えるのも良いが、この潔さもまた粋である。