驚異的な幻想交響曲に興奮させられる午後となった。シャルル・デュトワが新日本フィルに客演した。魅力的なフランス/ロシアプロということで、期待してサントリーへ。
本日の演奏会評は、圧倒的な幻想交響曲に尽きる。デュトワ率いるNJPは、万華鏡のような色彩感ある美しい音でホールを満たした。これはまさにデュトワのサウンドであり、デュトワマジックである。第1楽章から気合いたっぷりなオーケストラを目の当たりにしたが、第2楽章の優美なワルツでは、一転して鋭角の取れたまろやかな音楽を披露した。本日の白眉は第3楽章。艶やかな音で不穏な牧歌を、これ以上無いほど美しく仕上げた。デュトワはオーケストラを煽り立てるが、それ以上にオーケストラがデュトワを煽り立てている。丁々発止のやり取りだが、それが全てプラスの方向に働いた。
終演後は大盛り上がりで、ソロカーテンコール2回。これを上回る幻想交響曲にはもうお目にかかれないかもしれない。充実した、見事な昼下がりであった。