ブロムシュテット、今来日の2つ目のプログラムとなるCプログラム。シューベルト交響曲第1番と第6番が演奏された。ブロムシュテットはシューベルトを得意とするので、期待して足を運んだ。
本日もブロムシュテットはオーケストラが入場し終わる頃にコンサートマスターの白井に伴われて登場。客席は7割くらいの入りながら、拍手喝采で迎えられた。
先週のマーラーのような少々荒いアンサンブルだとシューベルトはうまくいかないのではないかと心配していたが、その心配は無用であった。ブロムシュテットは先週より元気で、支え無しで答礼もできていた。それが演奏にも良い効果を生み出した。精緻なアンサンブルにより、ブロムシュテットらしい、暖かな馥郁たるシューベルト演奏を実現した。
アンサンブルは堅固であったが、交響曲第1番の第2主題になると、とろけるような美しい横の流れを聴くことができた。木管は今日も堅調。第6番の第2楽章を豊かな気持ちで聴いていると、どこからかイビキが聞こえてきた。ここまで美しいと致し方ないとは思う。驚いたのは第4楽章。第1番でも同じなのだが、2/2を2つではなく、1小節を1つで振っていた。そのためだいぶテンポが速く、N響の弦セクションは必死で弾いていた。あまりのことに笑いそうになってしまった。
大喝采により、ブロムシュテットは指揮台と袖を一往復した。そしてオーケストラは解散したが、鳴り止まない拍手により白井に付き添われて2回のソロカーテンコールがあった。支え無しで答礼したり、誰もいない舞台に拍手したりと、以前のような仕草があったので、今日はお元気みたいだ。
今日は暖かく膨らむ音が豊かで、味わい深い演奏であった。ブロムシュテットの美質を一番堪能できるものであったことは間違いない。しみじみと感じ入る、良い演奏会であった。