KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

ブロムシュテット/N響

本日はブロムシュテット指揮N響のAプログラム初日。曲目はマーラー交響曲第9番。なかなかの破壊力のある内容だが、前評判が凄まじく、NHKホールが両日完売になった。お客も期待と不安が入り混じりながら、初日を迎えた。

楽団員が入場し終わるくらいでブロムシュテットコンマスの篠崎と共に登場し、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。ものすごい緊張感で聴衆が押し黙る中演奏開始。

一音目から際立っていたが、2ndヴァイオリンが入る時の繊細極まりない弱音に唸らされた。丁寧に紡がれる一音一音が極上の時間を作り上げた。ブロムシュテットは椅子に座り、スコアを見ながら指揮した。昨年より明白に統率力が衰えており、オーケストラにも多少のミスはあったが問題になるレベルではない。N響は弦の後ろのプルトまで力を込めて演奏しており、うなるような響きを出した。第2、第3楽章すら綿密に計算されており、即興的な遊びは無いに等しい。第4楽章の徹底的に音の美しさにこだわった音楽は異常とも言えるかもしれない。

最後の音が消えると、しわぶき一つない長い間を挟み、ブロムシュテットが手をゆっくり下ろすと凄まじい拍手が湧き起こった。聴衆は大盛り上がりで、ソロカーテンコールにおいてはブロムシュテットを2回呼び戻した。

昨年の鬼のような出来を軽く上回る演奏に驚くばかり。来て良かったと実感した。ブロムシュテットの来日に感謝し、また明日もNHKホールへ向かう。