KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

ロトの饗宴

7/4にフランソワ・グザヴィエ=ロト指揮ギュルツェニヒ管弦楽団の演奏会を聴いた。サントリーホールは7割くらいの入りであったが、満員で無いのが悔やまれるほどの充実した演奏会であった。

何かやらかしてくれるという期待のもと一曲目のベートーヴェン。精緻なアンサンブルにより、深淵を覗く序奏から賑々しい主部まで、圧巻であった。コーダの入りは実演だと崩れやすいが、それすら難なく乗り越えるロトとギュルツェニヒ管の力量には恐れ入った。

樫本大進が登場して2曲目のサンサーンス。樫本は裏板から芯の通った音を鳴らし、軽々と弾き上げた。アンコールのバッハの静謐さまで、卓越した技量を披歴した。

後半のシューマン、HIPの権化みたいなスタイルながら、馥郁たる演奏をしてみせたロトに賛辞を贈りたい。シューマンはどんなに尖った演奏をしても、豊かな響きが必要だということを証明してみせた。更には第4楽章から第5楽章にかけての艶やかな音には心揺さぶられた。

ロトのスピーチの後、アンコールでベルリオーズを演奏したが、シューマンからの様変わりように驚く。ギュルツェニヒ管弦楽団は何でもできる機動性を獲得したようだ。

ギュルツェニヒ管弦楽団は今まで来日が無かったが、それが信じられない程の名演を披露していった。次の来日がすでに楽しみになるほど、このような状況下で来訪してくれたことに感謝しかない。日本の音楽界は充実した気持ちで下半期に入ったようだ。