KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

ネトピル/読響、ムローヴァ

ネトピル指揮読響を聴きにサントリーホールへ。とにかくムローヴァの舞台支配力の恐ろしさを痛感した。

当日学生券を購入できたのは開演5分前。慌しく席に着くとショスタコーヴィチの演奏開始。オーケストラの状態は昨年に比べると見違えるように良い。ムローヴァのソロは弾き飛ばすことなく懇切丁寧で、スケルツォですら跳ねない。少々アポロン的すぎるかもしれないが、その圧倒的な存在感で舞台を支配する。異次元の格好良さに惚れ惚れした。やはりソビエトを知っている人間にしかできない仄暗さと威圧感であった。ネトピルはというと、派手ではないが、要所を締めて鳴らすやり方をとり、ムローヴァの丁寧なソロに合致していた。ソリストアンコールのバッハは静謐な世界が絶品であった。

後半のモーツァルト、斬新な所は少ないが、安定したやり方で全ての動機を演奏する。モーツァルト演奏の一つの模範であった。ヤナーチェクでは派手さは無いが、鮮やかに全ての楽器を統率し、複雑な構造を豊かに読み解いた。

じんわりと染み入る良いコンサートであった。またの機会を待っている。