今日は大野指揮東京都交響楽団を聴きに、東京芸術劇場へ足を運んだ。
久しぶりの芸劇は大入り満員。前半はイブラギモヴァの独奏によるブラームスヴァイオリン協奏曲。これが大ヒットであった。
イブラギモヴァは繊細さと大胆さを兼ね備えているが、大胆になる部分ではかなり情熱的に強く弾く。しかし音が外れたり掠れたりする直前のギリギリのところで演奏するため、演奏に破綻をきたすことは無い。それによりブラームスの音楽を躍動感あふれるほど生き生きとさせることに成功している。しかし繊細な弱音は芯の通った音がはっきりと美しく聞こえる。これほど静と動を自在に行き来できるヴァイオリニストは他に知らない。
最初の一音から全体を支配し、一本のヴァイオリンで都響を引っ張るイブラギモヴァ。これだけ全体に影響を与えるソロ演奏はなかなかお目にかかれるものではない。カデンツァの集中力も高く、客席も引き込まれていた。第3楽章の賑々しさはイブラギモヴァの奇想な演奏によく合っていたように思う。
今日の都響はイマイチであったが、イブラギモヴァの独奏だけで充分の満足度であった。