KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

ヴェンツァーゴのブルックナー全集

マリオ・ヴェンツァーゴは5つのオーケストラを振り分けてブルックナー交響曲全集を制作した。0番を含む10曲がボックスになっている。

ヴェンツァーゴのブルックナーは一見普通なのだが、テンポ設定がかなりアグレッシブである。デフォルメと言っても構わないくらい速く通り過ぎる5番などは、こんな解釈ができるのかと驚きに満ちている。全体的にテンポは速めで引き締まっているため、ブルックナーでありがちな中弛みみたいなことは無い。

フレージングなどは現代の演奏では標準的なふくらみのある朗らかなものになっている。更には暖かみのある音質が非常に耳触りがよい。こんな爽やかで聴きやすいブルックナーがあるのかと驚嘆するばかり。

3番は昨年読響で聴いたが、衝撃的な名演であった。このCDでもその時と似た解釈で押し通している。次回読響との共演を待ち侘びている。