KeiYamamotoの雑記

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ブロムシュテットのシューベルト第1弾

ブロムシュテットライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団と緊密な連携を保ち続けている。そんなブロムシュテットブラームス交響曲全曲録音に引き続き、ゲヴァントハウスとシューベルトに取り組んでいる。

第1弾は交響曲第7番と第8番である。それぞれ未完成とグレートという呼び名が付いている。本稿では簡略化して以下の文では愛称で呼称する。

ブロムシュテットの指揮する未完成はシュターツカペレドレスデンサンフランシスコ交響楽団と録音があるが、これらとは時が経っている分様相が違う。ゲヴァントハウスとの新録音は、テンポがいくぶん速くなり、第1楽章提示部を繰り返している。艶やかなゲヴァントハウスのサウンドブロムシュテットは尊重し、美しい演奏を繰り広げている。

第1楽章から分厚い低弦が鳴り響き、管が細かに一音一音を生み出す。シューベルトの歌曲的な側面をブロムシュテットは十分に理解して組み上げている。第2楽章になると、弦が囁くように歌い出すが、歌いすぎることがなく、流れは一切停滞しない。

グレートもSKDとSFOで録音している。繰り返しを全て実行し、冒頭をアッラ・ブレーヴェで演奏しているのはSFOと変わらない。しかし音楽は角が取れてまろやかになったようだ。

グレートになると幾分快活な表現が目立つ。第1楽章提示部の弾むような第1主題は生き生きと、第2主題は歌謡性をといった具合に描き分ける。第2楽章のカタストロフへの一直線は、段々と深刻度合いを増す音楽造りが白眉。第四楽章になると本来はかなりの饗宴だが、ブロムシュテットはやりすぎない程度に興奮を鎮め、最後まで細部にわたり統率する。

グラモフォンの録音がこれまでのAccentusやPentatoneにくらべ、音像が遠く、音自体も大分操作されている雰囲気だが、全体の音楽としてはよくできていると思う。しかし人工的な感じは否めない。

ブロムシュテットシューベルトチクルスはまだまだ前半だが、完成することを切に願う。