KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

沼尻/神奈川フィル

ダ・ポンテ三部作をやったら面白いのではないかと思った。

沼尻音楽監督が県立音楽堂に出演。最近評判が良いコンビを聴きに紅葉坂へ。

K136から立ち上がりの良い弦楽器群。これだけの艶やかな音は神奈川フィルから聴いたことが無い。それは後半のメンデルスゾーンでも維持された。木管楽器の溶け合った響きが県立音楽堂に鳴り渡る。最近の神奈川フィルは上品な演奏をするが、それは音楽監督による所が大きいようだ。アンサンブルが甘い部分が時折あったが、熱量で補っていたので問題になることでは無い。そのような部分も、沼尻との協調を続けることで解消されていくだろう。

順番が前後したが、本日は新作初演もあった。山本和智による《姿なき舟と航跡》と題された作品。音響効果とコンセプトからして、サーリアホの《遥かなる愛》を思い出してしまった。神奈川フィルはそのような現代作品も、特殊奏法を含め、丁寧に演奏する。新作初演として見事であった。ここ70年くらいの作品を思い浮かべながら、興味深く拝聴した。

冒頭のダ・ポンテ三部作の話はどこから来たのかというと、アンコールに《フィガロの結婚》序曲が演奏されたのと、上記の新作の印象が影響している。アンコールでは今日一番の演奏を聴いた。沼尻が軽妙にフィガロを指揮し、オーケストラは真剣に楽譜を音にしていた。こんなに洒脱なモーツァルトは久しぶりである。いつか、神奈川フィルでダ・ポンテ三部作を上演する日が来ても良いのではないかと期待している。