KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

小泉/神奈川フィル、金川真弓

金川真弓の均整の取れた美しい演奏に魅了された。

小泉和裕指揮神奈川フィルの定期へ。私の体調が悪化したため、前半だけで失礼させて頂いた。感染症ではないし、演奏が悪いわけでも無いので念のため。

金川アポロン的な美しさを持つ演奏が、前半の最大の聴きどころであった。金川はとにかく一音一音を正確な音程で、粒立ちよく演奏し続ける。ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、ともすると勢いだけで始末してしまう演奏が散見されるが、金川はそのような小細工は一切しない。第2主題すら、感情の発露は必要最低限に留め、バランスを意識して演奏する。和音を丁寧に鳴らし、音階もしっかり聴きとれる速さで弾く。このように演奏することで、ブラームスの協奏曲が持つ均衡の取れた美しさが際立つ。それでも、凡庸には陥らず、ブラームスの音楽が持つ愉悦も表出させる。卓越した技量と音楽性がある証拠である。ブラームスの協奏曲の構造を明確に教えてくれる、見事な演奏であった。小泉和裕による、安定した指揮もそれに寄与した。指揮者とソリストの相性も抜群であった。

金川真弓はまた聴きたい逸材である。次回がいつになるかわからないが、是非もう一度ブラームスの協奏曲が聴きたいと思ってしまった。