未だ信じられない思いで一杯である。フランチェスコ・メーリのコンサートを聴きに初台へ足を運んだ。
冒頭から際立った歌唱を聴くことができる。ホール全体に響き渡る驚異的な声量により、客席は刺激されて湧きに湧く。あまりの声量に、ホールが小さいという印象すら受ける。ビリビリとノイズすら混ざるくらいにホールに響く。
それでいてsotto voceを細かくコントロールして表情を付ける。これだけ細かく表現を付けられる技量には文句の付けようが無い。
フランチェスコ・イヴァン・チャンパの指揮も的確で、間の管弦楽のみの曲すら見事に組み上げる。メーリに付ける伴奏は歌を一切邪魔せず、それでいて切れの良い音楽となっていた。東フィルはオペラをやると凄まじい結果を残す。
後半がとんでもない。ヴェルディは劇的にやらなくてはならないという意志を感じる。客席は大喝采で迎えて、アンコール3曲。終わるに向かってどんどん盛り上がる素晴らしいステージになった。
これは今後とも聴きたい歌手である。またの機会を楽しみにしている。