KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

アーノンクール/COE

アーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団は緊密な連携を保っていた。それは当然過去の話であるが、昨年に両者の未発表であったライブ録音がCDとしてリリースされた(ICAC5161)。

ハイドンモーツァルトベートーヴェンブラームスが収録されているが、内容としてはいつものアーノンクールであり、よく統率されたHIPである。しかしハイドンの輝かしい切れ味のよい音はHIPの手本である。アーノンクールの解釈は、今日に至る演奏解釈の流れを決定づけている。

これだけのものが未発表で残っていたのが驚きだが、内容は真摯なものであり、不足はない。アーノンクールの残した足跡は、今に至るまで演奏家に影響を与え続けているが、それが良く感じ取ることができるCD集になっている。

今やHIPは曲がり角に差し掛かっている。ネルソンスやマケラのようななめらかなゆったりした音楽を創る指揮者が若手に見られる。それらはHIPの影響は受けているが、もはやHIPではなく、ポストHIPの領域に入っている。一方マルヴィッツのような切れ味のよい生き生きとした音楽を創る指揮者も台頭してきている。今後どちらが優勢になっていくかわからないが、私としては現在HIPに向いている振り子が、その反対へとスイングしてゆく未来が予見できる。そんな時代の転換点にいることに自覚的でありたい。