KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

高良倉吉 『琉球王国』

高良倉吉 1993 『琉球王国』 東京:岩波新書

こちらの本を随分前に読了。学校の課題に関係する本は読んでいるが、このブログには書かないようにしている。やらなくてはならないことが多く、そうなるとあまり勝手きままに本を読む暇がない。こちらはだいぶ前に読んだ。

近代歴史学に基づく、琉球王国の探究。残っている史料は少なく、まだまだわからないことが多い。辞令書のような、残存する公文書から、ランケ流の歴史叙述を試みている。この本は1993年時点の話をしており、現在までの30年間に分かったこともあるが、基本情報はそう変わらない。琉球王国の基礎的な知識を提供する、新書としての役割は充分に果たしている。

高良が言いたかったのは、琉球を「外国史」として扱うことで、日本という国の見方を再構成できるということだろう。私もその流れの中にいることを自覚した。

浅草演芸ホール

落語が聞きたくなり、浅草演芸ホールへ行った。雷門の前にある薮蕎麦でザルを食べて、寄席へ。浅草は今日も大賑わい。

本日は立ち見の出る賑わい。漫才、曲芸、落語と様々楽しめる(寄席なんだから当たり前だが)。

今日一番の出来は柳家喬太郎。話の内容は予想がつくのだが、それでも客は引き込まれている。こういうのを名人芸と言うのだろう。

お目当ては春風亭一之輔。ちょっとした仕草一つひとつが計算されており、どこを取っても笑いが出る。人気なだけはあるようだ。

また近いうちに行こうかと考えている。

中尊寺金色堂展

東京国立博物館にて中尊寺金色堂展が開催。会場はだいぶ混雑していた。

8Kの高精細画像による金色堂の映像が目を引く。平泉で見るより鮮やかかもしれない。

凛とした観音様が見るものを魅了する。平安末から、現代まで900年の時を超えて残っているのが奇跡のようだ。高度な美術様式が中世にあったことを克明に描き出す展示。藤原清衡の木棺に畏怖の念すら抱いた。

展示は国宝、重要文化財級が少数並んでいるだけ。所要時間は短い。それでも、インパクトは抜群である。

日本中世に想いを馳せる時間になった。

インバル/都響

今日はインバルにしては珍しく、穏やかな演奏なのかと思いきや、ドヴォルザークでは随分景気が良くなり、賑やかに締めくくった。

インバル指揮都響を聴きにサントリーへ。今日は完売とのことで、ごった返していた。

大学祝典序曲は予想に反して、爆演ではなくソフトに、小綺麗にまとめていた。慌てずじっくりと仕上げるブラームスに好感を抱いた。そのままの音質でベートーヴェンに移行。品よく整った演奏で、大編成ながらアーティキュレーションが細かい。細部まで工夫されたベートーヴェンであった。

そのままドヴォルザークも演奏するのかと思いきや、後半になるにつれて熱量を帯びる。第4楽章では重量級の行進といった趣きで、いつものインバルが復活した。それでも第2楽章の弱音で、一風変わったヴァイオリンのボウイングにより、ちょっとした翳りが出てきたりもしている。第1楽章の頭に出てきた、朗々たるチェロの響きもなかなか聴けるものではない。多面的な演奏で、インバルの工夫が光る時間であった。

今日の都響は鳴りが良く、明るい音を出していた。楽員がインバルを信頼し、集中して演奏している。指揮者とオーケストラの、理想的な関係を見たような一日だった。

沼尻/神奈川フィル

ダ・ポンテ三部作をやったら面白いのではないかと思った。

沼尻音楽監督が県立音楽堂に出演。最近評判が良いコンビを聴きに紅葉坂へ。

K136から立ち上がりの良い弦楽器群。これだけの艶やかな音は神奈川フィルから聴いたことが無い。それは後半のメンデルスゾーンでも維持された。木管楽器の溶け合った響きが県立音楽堂に鳴り渡る。最近の神奈川フィルは上品な演奏をするが、それは音楽監督による所が大きいようだ。アンサンブルが甘い部分が時折あったが、熱量で補っていたので問題になることでは無い。そのような部分も、沼尻との協調を続けることで解消されていくだろう。

順番が前後したが、本日は新作初演もあった。山本和智による《姿なき舟と航跡》と題された作品。音響効果とコンセプトからして、サーリアホの《遥かなる愛》を思い出してしまった。神奈川フィルはそのような現代作品も、特殊奏法を含め、丁寧に演奏する。新作初演として見事であった。ここ70年くらいの作品を思い浮かべてながら、興味深く拝聴した。

冒頭のダ・ポンテ三部作の話はどこから来たのかというと、アンコールに《フィガロの結婚》序曲が演奏されたのと、上記の新作の印象が影響している。アンコールでは今日一番の演奏を聴いた。沼尻が軽妙にフィガロを指揮し、オーケストラは真剣に楽譜を音にしていた。こんなに洒脱なモーツァルトは久しぶりである。いつか、神奈川フィルでダ・ポンテ三部作を上演する日が来ても良いのではないかと期待している。

一時代の終わり

小澤征爾が死去した。生演奏を聴いたのは2回。1度目は小澤征爾音楽塾の公演で、ラヴェル《子供と魔法》を観た。2度目は翌年に水戸室内管弦楽団にて、ベートーヴェン交響曲第5番を聴いた。どちらも見事な演奏だったと記憶している。2年前に松本で、車椅子に乗った姿を見たのが最後になった。

評価はそれぞれだろうが、一時代を築いた指揮者であったことは間違いない。ご冥福をお祈りする。

 

https://www.asahi.com/sp/articles/ASS295KH1S29UCVL028.html?iref=sptop_7_01

今年度終了

秋学期の授業は全て終了し、課題も全て提出した。いわゆる春休みである。今年度もなんとか切り抜けることができた。お世話になった皆様に感謝したい。編入学2年目を無事に終えられてホッとしている。

今年度は高名な先生方による、素晴らしい授業を受けることができた。毎回が新鮮で、知的好奇心を刺激される時間。夢のようであった。大学とは楽しいところだということを実感した。この恵まれた環境に感謝している。

体調不良にも現在進行形で見舞われているが、何とか今学期を終えられたことに安堵している。来年度は卒論を書かなくてはならない。ゼミにも所属が決まった。体制を整えて挑みたい。

来年度の学業の平穏を願って。