KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

プラッソン

見事なフォーレの《レクイエム》だった。

ミシェル・プラッソンが来日。日本での最後のコンサートを敢行するとのことで、オペラシティへ足を運んだ。

ゆっくりとした足取りで登壇したプラッソン。用意された楽譜を閉じ、立ったまま演奏開始。《マ・メール・ロワ》からソフトな音響に包み込まれる。オーケストラが多少心許なかったが、それでも指揮者に最大限合わせ、暖かく仕上げた。途中から椅子に座ったプラッソンだが、左手の細やかな動きにより、繊細な音楽を作り上げる。

2曲目は《ダフニスとクロエ》から第2組曲ラヴェルがこだわった合唱ありのバージョン。これ以降は楽譜を見ながら座って指揮していた。オーケストラはみるみる状態が良くなり、合唱と共に鮮やかな大音響を奏でる。

後半はフォーレ《レクイエム》。清らかな弱音から、壮大な強い音まで、どこまでも美しい。ソリストもあまり前に出ず、全体の一部として、プラッソンの音響設計の中にいる。要所で出てくるオルガンもプラッソンの指示に寄り添っている。合唱とオーケストラも、透き通った美しさが終始維持された。こんな清々しいフォーレはなかなか聴けない。最後の和音がこんなに名残惜しく、寂しく響いたのは、今日が終戦記念日というだけではないだろう。

演奏が終わると拍手大喝采となった。大勢がプラッソンとの別れを惜しみ、プラッソンもそれに応えて、長くステージに留まった。どこまでも美しい幕切れとなった。プラッソン、帰国してもお元気で過ごしてほしい。