KeiYamamotoの雑記

考えたことや見て聴いたことを綴ります

大友/琉球交響楽団

アジアオーケストラウィークの一環として、琉球交響楽団の公演がオペラシティで行われた。指揮は琉球交響楽団音楽監督大友直人である。

一曲目は中村透の「かぎゃで風」。琉球古典音楽としては一番名の通った曲だが、オーケストラも合わさった編曲はより厳粛さが増したような雰囲気。私にはリラックス効果のある曲であり、音楽的にも馥郁たる演奏。琉球古典舞踊もあり華やいだ。琉球古典楽器奏者たちの引き出す味わい深いかぎゃで風は、器楽を生で聴く醍醐味である。

次に萩森英明の新作、「黄金の森で」。「沖縄交響歳時記」と似た曲調で、リズムパターンも似たようなのが散見された。やんばるへ行った時に感じたことを曲にしたらしい。やんばるからインスピレーションを受けてここまで流麗な音楽に仕上げたのは見事。琉球交響楽団はこのような曲をやると、沖縄の言葉を話すように豊かに歌い出す。

3曲目は萩原麻未ソリストに迎えたラヴェルのピアノ協奏曲ト長調。萩原は決然としたタッチでピアノを鳴らしながら全体を支配し、やる気に満ちたオーケストラとよく調和した。

盛り沢山な前半が終了し、後半はチャイコフスキー交響曲第5番。冒頭は少々荒が目立ったが、すぐに大友によるエレガントな音楽に切り替わった。タケミツメモリアル一杯にオーケストラを鳴らした上で、気を衒わない解釈で一貫した。第4楽章においてはエネルギッシュになり、コーダまで押し通した。

琉球交響楽団は演奏レベルにまだ課題もあるが、内容としてはちむどんどんする演奏ができるオーケストラになっている。沖縄に根付いたオーケストラとして、今後の活動に期待したい。できることなら沖縄でも聴いてみたいものだ。