リサ・バティアシュヴィリはこの度新しいCDをドイツグラモフォンからリリースした。ピアノのギオルギ・ギガシヴィリ、ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団と共演している。曲目はフランクのヴァイオリンソナタ、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番、ショーソン《詩曲》、ドビュッシー《美しき夕暮れ》である。
シークレット・ラヴ・レターと題されたCDだが、バティアシュヴィリの奏でる美しい音が存分に堪能できる選曲になっている。
フランク《ヴァイオリンソナタ》の鮮やかな美しさは最高である。バティアシュヴィリは小細工をせず曲に真正面から取り組み、巧みな技量を誇ることもせず、堂々とした構えを見せる。豊かなカンタービレから、フィナーレの高揚まで、ごく自然に流れてゆく。ピアノのギガシヴィリも曲の場面にふさわしく強弱を巧みにコントロールし、バティアシュヴィリのヴァイオリンにピッタリつける。
他の曲も見事に完成されている。シマノフスキの込み入った音楽も、バティアシュヴィリは難なくこなす。更にはネゼ=セガンの指揮するフィラデルフィア管弦楽団は舌を巻くほど上手い。隅々まで整ったサウンドはさすがとしか言いようがない。ショーソンすらこのコンビは品よくまとめる。
このレベルの高いアルバムがリリースされたことを喜びたい。